妄想劇場。6 自傷行為

誰かに無神経なほど無邪気に踏みつけられて、傷ついたのにその時笑ってやり過ごしていたら、

その人がそのことがなかったことのように、あきれるほど無邪気に人を利用しようとしてきて、

ふつふつと怒りがわいた。

そして、きっぱりと、刺した。言葉で。

刺すつもりできっぱりと言葉を放ったら、刺さって血が流れたのは自分のほうだった。

なるほど、誰かを傷つけるということは、自分が傷つく、ということなんだな。

目の前の敵を刺したつもりで、刺さったのは鏡の中の自分。

致命傷ではないが、痛い。

血が止まらない。

そして刺そうとした自分のいやらしさにも、吐き気がする。

人を刺す、という行為は、自傷行為と同じ。

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