妄想劇場。2 父、耕一。
続き。
続くのは、たっくんのその後ではない。私の知ったことか。無事に帰れるよう祈る。
私のその後。
最寄り駅について「今日の夕飯はコンビニ!」と心に決め、ローソンへ。
かご持ったおじさんが弁当が並んでいるあたりでふらふらしていて、選べない。
おっちゃん、どいとくれ!と言いたい。
あたしゃあんたが手を伸ばしてはやめるから揚げ弁当の隣の一日の野菜1/2弁当に興味があるんだからさ。
私の心の叫びは聞こえないらしく、どきゃしない。
むぬぬ~。
こちとら腹が減ってイラついてんだ~!
そんなラブリーなチェックのシャツきてたって許さないよ、あたしゃあ!!
・・・・ってちょっとまて、上も下もチェック。
・・・・おっちゃん、パジャマ?
そう、おっちゃん、白地にブルーのチェックのパジャマにサンダル。
おいおいここは23区だっつうの。
下町情緒あふれるところとはいえ、海沿いにはお台場や豊洲を抱える江東区だよ。
10時45分にコンビニにパジャマでくるのはよそうよ。
そんなことしてると、また息子に怒られるよ、耕一さん(仮名)。
ここから妄想が爆走。
父、耕一52歳(勝手に決めた)。
最近急激に腹が出てきて、14歳になる息子優太がなにかっちゃあ「うっせータヌキ親父!」といいやがる。
生意気でしょうがねえ。
おれっちの家は先祖代々ここで生まれ育ってるんだ。
自分の生まれ育ったところで夜にパジャマで出歩いて何が悪い。
新参者にごちゃごちゃ言われる筋合いはねえ。
2Lの水と朝用のパンを買って帰ったら、まずはかあちゃんが、怒りやがった。
「あんた!もういい加減にしなよ、そんな格好でうろうろして。風邪引いたらどうすんだい」
すぐに息子が引き取る。
「風邪なんか引くかよ、タヌキ親父がっ。つうか、頼むからそんな格好でうろうろすんな、ってなんどいやわかるんだよ。勘弁してくれよ、ダセエなあ。つうか、それは俺のパジャマだっつうの!」
まったく、一家の長がわざわざ朝食を買ってきてやったというのに、この態度はなんだ!このパンは俺が全部食ってやる!
・・・・・ってこんな妄想している暇があったらさっさとうちに帰って弁当を食すべし。
と思いながらおっちゃんを押しのけて弁当をゲットし帰宅した。
春の宵のことである。
・・・弁当は足りなかった。